実存分析的精神療法における前提

 実存分析的精神療法では、間主観的な場における問いかけが重要です。問いかけることが、本質へと向かうことと結びつくのです。

 それは、以下のような前提においての問いかけとなります。

 

〇 心理・行動を表現することに関して、脳システムが前提条件であること。

〇 脳システムを前提とした無意識によって行動を表現すること、自己意識による思考、意思、認識は行動の原因ではないこと。

〇 実在の世界を認識していない。脳システムによる過去の経験から再構成されたイメージを前提として、世界を認識している。病的な事態において、歪められた体験およびネガティブ感情(後悔、恥、自責感、罪悪感、怨嗟など)、自他境界は不確かとなる(妄想)。

〇 どのように役割に適応するのかに関するイメージが前提となっている。

より良くやるのか、うまくやらないのか。

役割において、期待に至らない、想定外の事態に対して、能力・パワー・強みにより、うまく適応してきた歴史を背景としている。

〇 語る内容と体験とは一致し得ないという原則。過去の経験に対する言語による再構成であり、分類、比較、価値評価が前提となる。(科学的認識形式)

〇 心身におけるエネルギーは、自由エネルギーと束縛されたエネルギーにより構成される。ポジティブあるいはネガティブな心理・行動と結びつき表出される。

〇 言葉の意味は、社会適応(順応)を目的として定義されている(辞書的定義)。言葉の使用に関する規則・ルールが前提されている(言語ゲーム)。

〇 言葉は、愛、信頼、絆を表現するための道具ではない。表現そのものが、本質的な「意味」である。

〇 脳はストローク(刺激)を求めること、実存は人生の「意味」へと向かうこと(志向性:生あるいは死)

〇 自己愛(大脳辺縁系) 能力・パワー・強み(大脳皮質) 本質直観(無意識)

〇 心理および身体的存在(有機体)を超越した実存的存在(本質存在)

〇 外的な時間は本質ではない。過去現在未来へと直線的に経過する時間は実在しない。

 内的な時間体験の方が重要である。(空間における行動に関わるリズム・テンポ)

 過去は経験の重ね合わせ、現在は本質直観、未来は開かれた可能性であること。

〇 自他に関する数学あるいは物理学的思考形式は非本質的でありネガティブであること。実存本質は、数量や強度による命題により表現しえないこと。

〇 意味のわからない言葉によるメッセージ(命題)は、単なる記号にすぎないこと。本質的な理解に対する前提は、経験によるイメージとの結びつきであること。さらに言葉という記号を重ねて説明しても、本質的な意味からは離れていくこと。

 

〇 ノエシス(意味するもの)、ノエマ(意味されるもの):主観と客観との一致はあり得ない。

〇 シニフィアン(語るもの)、シニフィエ(語られる対象):やりとりにおける対象イメージの一致はあり得ない。